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DR(ディザスタリカバリ)サイトとは?運用方式や構築のポイントなど

業務システムの存在は企業が業務を続ける上で必要不可欠なものだといえます。システム障害だけでなく、災害時にも継続的にシステムを稼働し続けるための対策が必須です。そのような場合に活用できるのが「DR(ディザスタリカバリ)サイト」です。
この記事では、DRサイトの概要から運用方式、構築のポイントと併せて、BCPとの違いについて解説します。

DRサイト(ディザスタリカバリサイト)とは?

DRはDisaster Recovery(ディザスタリカバリ)のことであり、日本語で表すと「災害対策」や「災害復旧」という意味です。DRサイトは自然災害やテロなどの非常事態にメインのシステム拠点とは異なる拠点で、システムを継続的に稼働させるための施設や設備を表します。

例えば、メインのシステム拠点を東京に設置し、東京で地震などの災害によってシステム稼働が難しくなった場合に大阪のDRサイトを稼働させる、というような使い方ができます。

DRサイトが重要視されるようになった背景には、2013年に発生した東日本大震災の影響が考えられるでしょう。多くの企業が物理的に大きな被害を受け、システムやデータが使えなくなった事例も報告されています。

 

DR(ディザスタリカバリ)とBCPの違い

非常時に備えるという点で、BCPとの違いについてわからないという方もいるかも知れません。BCPはBusiness Continuity Planの略称であり、日本語では「事業継続計画」のことを指します。

BCPは非常事態の際にどのように行動し、業務を継続できるようにするかを事前に計画することであり、DRはBCPのなかに含まれます。DRはBCPのなかでもシステムの復旧や修復を担う考え方であり、それを実現するための拠点がDRサイトです。
BCPが事業継続のための計画であるのに対して、DRはシステムの復旧・修復を目的とした手段や設備・システム構成といえるでしょう。

 

DRサイトの運用方式

DRサイトは本拠点とは異なる場所にほぼ同一のシステムを構築します。そして、その運用方式としてはおもに次の3点が挙げられるでしょう。

  • ホットスタンバイ:本拠点のデータ複製などを常時行う方式(本拠点のミラーのような位置づけにする)
  • コールドスタンバイ:施設やインフラのみを用意しておく方式
  • ウォームスタンバイ:ホットスタンバイとコールドスタンバイの中間に位置するもので、システム構成は本拠点とほぼ同じ、非常時に稼働を開始する方式
3つの運用方式の大きな違いは、運用にかかる維持コストと非常時の切り替え速度です。

ホットスタンバイは常時本拠点と同じ環境を用意し続けるため、非常時には即座にシステムを切り替えられますが、その分維持コストが高くなります。対して、コールドスタンバイは必要になったときに機材の導入やバックアップデータの導入などを行うため、維持コストは抑えられますが、システムの切り替えには時間がかかります。

ウォームスタンバイは、ホットスタンバイとコールドスタンバイの中間に位置するものであり、維持コスト・システムの切替速度も中間程度です。
自社の環境やシステムの重要性などに応じて、
DRサイトの運用方式を検討する必要があります。
 

DRサイト構築のポイント

DRサイトを構築する際には、最低限次の3つのポイントを押さえておかなければなりません。

  • RPO(目標復旧地点)とRTO(目標復旧時間)の検討と策定
  • 対象となるデータ、システムのバックアップ方法
  • 運用、維持にかかるコスト

RPOとRTOは、非常時にシステムをどの程度まで復旧するか、またどの程度の時間を要するのか、といった2つの観点からみた目標値です。

また、システムで利用するデータの種類によって、バックアップ方法も検討する必要があります。例えば、刻一刻と変化するデータを常に利用するような業務の場合、随時DRサイトと同期しておかなければ非常時に稼働できません。

バックアップの範囲もデータごとなのか、システム単位なのか、時間毎・日毎の取得なのか、さまざまな取得方法が考えられます。RPOやRTOも考慮した上で適切なバックアップ方法を選択する必要があります。
そして、これらを検討するにあたりコストの課題は見逃せません。
業務システムの種類によっては、1時間の停止でも多大な影響をもたらすものもあるでしょう。通常時と同じ状態(RPO)を1時間以内(RTO)に復旧することを目標とする場合、必要となるシステムの規模も大きくなり、コストも多くかかります。バックアップの取得方法・取得後の管理方法によっても維持管理のためのコストは大きく変わります。

DRサイトは非常事態が発生した際に稼働させるものですが、コスト削減を意識しすぎて非常時にシステム切り替えに時間がかかり、機会損失を生んでしまっては意味がありません。
だからといって、本拠点と同一のシステムを構成して同じように運用・維持管理してもコストが高くなります。DRサイトを構築する際にはできるだけコストを抑えて、保険として用意することが望ましいといえますが、コストバランスを考慮した上で構築することが求められます。

DRサイトは本拠点とは異なる地点に構築する非常時用のシステム拠点です。あくまでも保険として構築されるものですが、非常時に業務を継続するための仕組みとして企業にとって必要不可欠なものといえるでしょう。
近年ではクラウドサービスを活用したDRサイトの構築事例も増えてきています。この機会に、DRサイトの構築について検討してみてはいかがでしょうか。